読書日記と日々のあれこれ

読んだ本の記録と紹介です。たまに映画も。

1、2月 読書のメモ

今年に入って1、2月に読んだ本のうち、おもしろかったもの、印象的だったもの、ベスト5を。順不同。 

 

1 すべての、白いものたちの

韓国の詩人、小説家のハン・ガンによるエッセイ。白、をテーマに書かれた命にまつわるさまざまなエッセイ。

しん、とした静けさの漂う、清らかな詩のような一冊。

 

2  82年生まれ、キム・ジヨン

韓国の小説家チョ・ナムジュのフェミニズム小説。韓国でかなり話題になりドラマ化も決定。日本でも昨年12月に翻訳が出た。日本でも、女性は共感するところが多いと思う。私たちが慣れきって、意識することもなくなっているさまざまな「差別」を認識するきっかけになる。

 

3 小説大逆事件 

佐木隆三の小説。皇室に対する反逆罪を企てたとして、幸徳秋水ら26人が逮捕され、うち12人が処刑された事件。幸徳事件とも。これを小説という形で描いた作品。実際に事件を計画した者だけでなく、芋づる式に「共犯者」を逮捕し、計画に加担していなかった者までが罪に問われている。

現代の共謀罪にも通ずると思われる。

 

4 サンダカン八番娼館

山崎朋子が、天草のかつてからゆきさんだった女性のもとへ身分を隠して住み込み、話を聞いてまとめた記録。女性史研究者である著者は、天草で偶然出会ったおサキさんが元からゆきさんと知り、単身天草へ。共に暮らしながら、からゆきさんとして南方へ渡った女性たちの現地での生活、日本への帰国後の生活について聞き取り、足跡を追う。女性が身売りを迫られる背景にある社会問題について考えさせられる。

 

5 自転車泥棒

作者は台湾の小説家呉明益。主人公の父親は、自転車とともに失踪した。その自転車を探す過程で、主人公は自転車にまつわるさまざま人々と出会う。自転車をめぐって、かつてのあったことを知り、それは今へと繋がっていく。

時間は連綿と続いているのだということを感じさせる。