読書日記と日々のあれこれ

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女たちの物語 『三つ編み』

 

三つ編み

三つ編み

 

 

レティシア・コロンバニの『三つ編み』を手に取ったのは、表紙がとても美しかったからだ。インド人女性と思われる人物の色鮮やかな服の色と背景の色彩が目を引いた。

 

3つの大陸の全く接点のない3人の女性を主人公に物語は展開される。

インドの不可触民のスミタ。イタリアで家族経営の毛髪加工会社ではたらくジュリア。カナダのシングルマザーで弁護士のサラ。

同じ時代、同じ時間を生きているとは思えないほどにかけ離れた生き方をする3人の女性たちを順番に追いかけていく。

彼女たちは、自分で選ぶよりも先に生きる道や生き方を決められて、その中で必死に生きている。おそらく初めはそんなことには気付かなかっただろう。

私たちが多かれ少なかれそうであるように、知らず知らずにのうちに受け入れているさまざまな社会的な規範や家族のあり方に無意識に従っていたはずだ。

 

女性だけではなく男性もまた、同じように選択肢を与えられることなく、すでにそこにある規範に従って生きているであろうことはわかる。

しかし、現実問題として、世界中の女性たちは、男性と比べて圧倒的に弱く力のない立場に置かれてきた、自分で何かを選びとることは難しく、男性が自分の進む道を選ぼうとする場合の何倍ものエネルギーと犠牲を払わなくてはならなず、ただ安全に生きていくためにも、自分の身を守るために男性以上の注意を払わなくてはならない。

 

日本においても例外ではなく、いまだに「働く」という当然の機会を維持するためだけに、多くのエネルギーを要する。

「働かせてもらっている」という言葉を口にする女性が多くいることを男性は知っているだろうか。

 

長年にわたって私たちの意識に植え付けられてきたステレオタイプなイメージと思いこみは、想像以上に深く強く根付いており、さらに女性の権利を声高に叫べば、すごい勢いで反論される。

けれども、この状況が変わらなければ、男女ともに不幸だ。男女どちらも性別ではなく、個人として、一人の人間として、その本質を認められて生きることができるようになればいい。そんな風に、世の中を変えていきたい。