テルマエ・ロマエの作者の母
『ヴィオラ母さん 私を育てた破天荒な母・リョウコ』 ヤマザキマリ(文藝春秋)
マンガの『テルマエ・ロマエ』が好きなので、あんな面白いマンガを書いた人のお母さんのことなら、読んでみたかった。
書店に並び始めてすぐの頃から気にはなっていたのだが、たまたま実家に帰省していたり(荷物になるので帰宅してから買おうと思った)、入院してしまったりしていて、ようやく先週購入した。
帯にも書いてあるが、確かに朝ドラ主人公にでもなりそうな人生と個性。
子育てに正解はないとよく耳にするが、確かに正解はないなと周囲を見ていても思う。
ただ、ヤマザキマリさんの母親「リョウコ」についていえば、正解とか不正解なんていうことは超越しちゃってる印象だった。
自分の親のことを考えてみても、何が正解か、はたまた過ちかはよくわからないけれど、親がきちんと人生を受け止めて、楽しんでいるってことは大切なんだろうと思う。うちは両親が両極端なので。
まったく楽しめてない方は、それはそれで反面教師にはなったけど.....。
そのせいなのかどうか、夫はそういうタイプで、よく言う「父親に似た人を選ぶ」という言葉が時々頭を過る。
ヤマザキマリさんのお母さんは、タイトルからわかるようにヴィオラ奏者だ。音楽で食べていきたい、と勤めをやめ、勘当同然で家を出たそうだが、その後本当に音楽で食べ、二人の娘を育てた。これほど好きなことに出会えるということは、幸せなことだ。そして、全力でそれに向かっていけたことも。
私たちの多くは、たぶん、好きなこと打ち込めることに出会えないのではなくて、好きなことがあってもきっとどこかの時点でやめたり、失敗を恐れてその道に進むことを諦めたりしているのだろう。
諦めることが必要なことも、時にはあるが、たいていは諦めるかどうか選択するところまでも、行かないのではないか。少なくとも、私はそうだったし、正直に言えば、今だってそうだ。これからでも、私は変われるだろうか。