読書日記と日々のあれこれ

読んだ本の記録と紹介です。たまに映画も。

ハンチバック

芥川賞の『ハンチバック』、おもしろかった。作者の市川沙央さんの病気、先天性美緒パチーは初めて聞く病名だった。インターネットを検索してみたら、インタビュー記事が出ていたので、本を買う前に読んだ。インタビューがとてもおもしろくて、この人の書く…

『スマホ脳』by アンデシュ・ハンセン を読んで

スマホ脳(新潮新書) 作者:アンデシュ・ハンセン 発売日: 2020/11/18 メディア: Kindle版 スウェーデンの精神科医、アンデシュ・ハンセンの『スマホ脳』は、今まで漠然と思っていた様々な不安、懸念等々、明確に肯定してくれるものだった。 スマホを使うよ…

疲れ切った月曜日に思ったこと

完全に緩み切っている雰囲気はあるけれど、相変わらず毎日少しずつ感染者が出ている。 明日は我が身と思って気を付けて過ごさなければ。 GWは、たぶん夫が実家の両親の様子を見に東京に行かなければならない。 ふたり動くよりは一人の方がましだろうから、私…

3月末の忙しさを超えて

明日(すでに今日)からは、4月。年度初めだ。 ひとまず、この1年間をどうにかこうにか乗り切った。そんな気分。 今年は人の異動もないので、幸いにもあまり慌ただしくない年度末だった。落ち着いて新年度をスタートできることはありがたい。 月末を終えたも…

朝の読書

十戒・主の祈り――教皇講話集 (ペトロ文庫) 作者:教皇フランシスコ 発売日: 2020/09/01 メディア: 文庫 この教皇フランシスコの講話集を毎朝少しずつ読んでいる。 私はプロテスタントの信徒なので、カトリックのローマ教皇の書いたものをあまり読んだことがな…

心穏やかにいられるように 

期末の忙しさによる焦りや苛立ちを少しでも穏やかにしたくて、私にしては珍しくイラスト多めのエッセイを読むことにした。 面白いかどうか、正直なところ半信半疑で期待していなかったのだけれど、意外なことに面白い。心理学的にとても的確なことが書かれて…

今週の予定 

やりたいことも、やらなくてはならないことも、やっておいた方が良いこともたまりすぎていて、すべてを先延ばしにしているせいで、いつもイライラとして落ち着かない。 慣れない土地で、慣れない環境の中、慣れない人たちと会うことにも疲れが出てきているの…

相変わらずの日々

生きているうちに「パンデミック」が起こるとは、あまり想像していなかった。 小説の中で、あるいは映画の中で、過去の歴史の中で起こっていることであって、 自分の人生や生活にこんな風にこんな出来事が起こるなんて。 「過去にあったことは、これからも起…

中華民国 賢人支配の善政主義 再読

中華民国―賢人支配の善政主義 (中公新書) 作者:横山 宏章 メディア: 新書 学生時代、レポートのために読んだ新書を三度目の再読。 ユン・チアンの『ワイルド・スワン』『西太后』、パールバックの『大地』など、中国を描いたものを読むたびに、その広大さや…

武漢日記を読みながら3

とうとう封鎖解除が目の前、というところまで来た。新規感染者ゼロ。 そこにたどり着くまで長い時間がかかった。 2ヶ月に亘る封鎖期間。 多くの人たちが先の見えないこの期間をじっと自宅で耐え続けた。 正しい情報を得ることが、いかに大切であるか、正し…

アンの青春 再読

久しぶりにモンゴメリの『アンの青春』を再読した。 この年齢になっても、やはり良い。 アンがクイーン学院を卒業し、アヴォンリーに戻って教師として働きながら過ごす2年間を描いている。16~18歳の2年間。 5年間も仲違いしたままだったギルバートとも和解し…

武漢日記を読みながら-2

今、3月18日、封鎖から56日目を読んでいる。2ヶ月近くも封鎖が続いている。 感染者の数は減り、武漢の人々は封鎖解除を待っている。 多くの人が誰か親しい人や家族を亡くし、存分に悲しんだり、別れを告げたりすることもままならない中で、封鎖解除を待って…

武漢日記を読みながら

中国の作家、方方の『武漢日記』をひと月くらいかけて読んでいる。 日記だからか、どうも一気読みというリズムにならない。時間がかかる。 武漢封鎖からの日々を粛々と記録し続けた60代の作家の日記は、客観的でありながら、個人的な視点や思いも十分に伝え…

積読

積読本がたまりすぎてしまい、3月に一度リセットしたのだが、 最近新たな積読本がたまってしまい、新しい本をのをためらってしまう。 以前は、そんなことなかったのだけれど、いったい何が私をためらわせるのだろう。 と考えてみると、家が狭くなったのがい…

作者と本

本に限らず、絵や彫刻など何でもそうだけど、「作品がすべて」か「作者の人となりが大事」かという問いに時々ぶつかる。 私は、どうしても「作品がすべて」とはわりきれなくて、書いたひと(作ったひと)がどんな人物なのかが気になってしかたがない。 作者…

絵本

甥や姪にプレゼントを贈るときはたいてい絵本にしている。 単に自分が好きだから、というのが理由ではあるんだけど、甥や姪も(その両親も)楽しんでくれているみたいなので今のところは良し。 小学生になって本が好きかどうかがわかったら、今後のことは考…

「女の子だから」

イジェアウェレへ: フェミニスト宣言、15の提案 作者:チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ 発売日: 2019/06/18 メディア: 単行本 とてもすてきな本を読んだ。 小さな娘がいるともだち皆にあげたい。 チママンダ・ンゴズィ・アディーチェの『イジェアウェレへ…

モンゴメリ 『ストーリー オブ マイ キャリア』

ストーリー・オブ・マイ・キャリア 「赤毛のアン」が生まれるまで 作者:ルーシー・モード・モンゴメリ 発売日: 2019/06/26 メディア: 単行本 すルーシー・モード・モンゴメリが赤毛のアンを書くまでのキャリアについての長いエッセイ、といえばよいだろうか…

国家が破産する日 映画

最初から最後まで緊迫しっぱなし。国が破産するその日まで、まさかそんなことが起こるはずないと信じていた人は、どれ程多かった だろう。 ニュースや新聞でしきりに景気の良さを謳っていても、景気が悪いことは生活していれば肌で感じるはずで、何も気づか…

広場

広場 (CUON韓国文学の名作) 作者:仁勲, 崔 発売日: 2019/09/30 メディア: 単行本 ひ作者は韓国、北朝鮮の両方の体制を経験した。 主人公も同様に両国の体制の中で生き、そして北朝鮮から第三国へ行くことを希望する。主人公は、船の中でその来た道を振り返る…

バレリーナ 躍り続ける理由

バレリーナの吉田都さんのエッセイを読んだ。 実はバレエを見たことがない。 以前の同僚が長年バレエをしていた人で、吉田都さんの名前も彼女から聞いたのだったと思う。書店でこの本を見たとき、聞いたことあったな、と手に取った。 幼い頃から躍り続けてい…

『惨憺たる光』

惨憺たる光 (韓国女性文学シリーズ6) 作者: ペク・スリン,カン・バンファ 出版社/メーカー: 書肆侃侃房 発売日: 2019/06/27 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る 人が抱える苦しみや悲しみ、光と闇、生と死、さまざまな面から人を…

まなちゃん

まなの本棚 作者: 芦田愛菜 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2019/07/18 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 小動物のように愛らしかった子役の芦田愛菜ちゃんが、もう15歳になったとは。 本を読むのがとても好きだとのことで、彼女どんなものを…

『あの夏のソウル』

あの夏のソウル (YA! STAND UP) 作者: イヒョン,徐台教,下橋美和 出版社/メーカー: 影書房 発売日: 2019/03/08 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る 『鉄原、1945』の続編となる『あの夏のソウル』は、日本の植民地支配から解放さ…

2019年1-6月 読書 ベスト5

今年の1月から6月の半年間で読んだ本は72冊 その中から5冊選ぶとしたら下記のとおり。 順不同。 『平場の月』 朝倉かすみ 『三つ編み』 レティシア・コロンバニ/齋藤可津子 『外は夏』 キム・エラン/古川綾子 『ヨーゼフ・メンゲレの逃亡』 オリヴィエ・ゲ…

書店が好き

書店で本を眺めながらぶらぶらと棚を見て回ると、まず精神的に落ち着く。仕事帰りは一杯やるより本の背表紙を見たい。 本を選んでいると、自分が今何を考えているか、どんなことを気にしているのかよくわかる。 選ぶ本にはっきり出るから。 見ても見ても選べ…

『結婚』

原題は『立っている女』という。 韓国の作家パク・ワンソの小説だ。 旧来の結婚観、女性観と、新しい時代の新しい結婚観、女性観の間で戦う若い女性が主人公である。 女性とは社会において家庭においてどのような存在なのか。 この小説が書かれた時期は韓国…

あのころはフリードリヒがいた 

あのころはフリードリヒがいた (岩波少年文庫 (520)) 作者:ハンス・ペーター・リヒター 発売日: 2000/06/16 メディア: 単行本 約30年ぶりに再読したハンス・ペーター・リヒターの『あのころはフリードリヒがいた』。 1925年にドイツの同じアパートに生まれた…

女たちの物語 『三つ編み』

三つ編み 作者: レティシアコロンバニ,?崎順子,齋藤可津子 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2019/04/18 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る レティシア・コロンバニの『三つ編み』を手に取ったのは、表紙がとても美しかったからだ。インド人女…

センセイの鞄 

川上弘美の『センセイの鞄』は、静かな静かな恋愛小説だった。ゆっくりゆっくり育っていく気持ちがゆっくり描かれている。読んでいる方も、ツキコさんとセンセイのペースに合わせて気持ちを育てていくことになる。 読んでいるうちに、ツキコさんと同じペース…