『スマホ脳』by アンデシュ・ハンセン を読んで
スウェーデンの精神科医、アンデシュ・ハンセンの『スマホ脳』は、今まで漠然と思っていた様々な不安、懸念等々、明確に肯定してくれるものだった。
スマホを使うようになってから、集中力の欠如、とりわけ
読書中の集中力が非常に低下していることが気になっていた。気になっていると同時に、原因はわかってもいた。
そして、暇な時や疲れている時、絶え間なく画面をスクロールしてはとりとめもなく情報を読み流して頭の中に何かを流し込んでいるような感覚。これが目も頭も疲れさせているのではないか、記憶力や思考力の低下を招
いているのではないかと感じていたが、それも大体外れていなかった。
そして、手で文字を書く行為と、PCで画面に打ち込む行為、紙の本を読むのと
スマホやPCの画面で読む行為の違いにつていも、私が長年抱いていた疑問に納得できる回答が得られたように思う。
スマホやPCは便利な道具だが、「便利なように使う」ことができてこそ生きるものであって、なくてはいてもたってもいられないようでは本末転倒だ。
私にとってもスマホはすでに「掌に収まる私の部屋」みたいなもので、聯絡を取るツールであり、ドラマや映画を見るテレビであり、図書館であり書店でもある。そしてノート、メモ帳、SNSを楽しむ娯楽でもあり、この小さな道具はとても大事な私の世界だ。私の好きなものがたくさん入った大切なものになっている。
先日、スマホが故障して代替機を借りたとき、あまりの不便さと喪失感に驚いた。そしてたった2週間だったのに、代替機の中に私の部屋を作り上げ、その仮の部屋を完璧に整えずにはいられなかった。
この本を読んでいちばん気になったのは、スマホの普及と鬱との関連性だ。スマホとSNS利用率の増加と鬱の増加は偶然ではなにだろう。
それと第7章の「バカになっていくこどもたち」だ。
これは自分で使ってみて実感として「こどもには使わせたくない」と感じていたからだ。幸か不幸か私にはこどもがいないので、悩むこともないのだが、スマホを使っている時に感じるのは、あまり頭を使っていないなということと、このツールは非常に「受け身」なメディアだなということだ。タブレット学習などは小さなこどもの学習方法としては不向きなのではという印象が拭えないのだ。
スマホやPCは楽しい道具だし、とても便利だ。
生活の中に取り入れて便利に使いたいが、使い方についてはきちんと考えてうまく付き合いたいものだと思う。