モンゴメリ 『ストーリー オブ マイ キャリア』
すルーシー・モード・モンゴメリが赤毛のアンを書くまでのキャリアについての長いエッセイ、といえばよいだろうか。
赤毛のアンと同じように美しい言葉で綴られた素晴らしい文章。彼女の作家としての下地はプリンスエドワード島で育まれたことがよくわかる。緑と海に囲まれた美しい島の豊かな自然の中で。
決して平坦ではない人生を送ったモンゴメリだが、彼女の綴る言葉は優しく美しい。神の創造の豊かさを伸びやかな言葉で美しく表現する。人生は決して平坦なものではなく、困難に満ちている。赤毛のアンを読むと、それがよくわかる。彼女の人生は苦労の連続でもあるからだ。しかし、それでも人生は輝きを失わないと思わせてくれる。
モンゴメリ自身が楽ではない人生を生きたことを知ったとき、少し悲しいような苦しいような気持ちになった。あんな素晴らしい世界を描いた彼女が背負っていた多くの苦難を思って。
けれども、だからこそ赤毛のアンの世界は苦しみや悲しみの中を通りながらも、美しく豊かなのだろう。