森村誠一のエッセイ 『遠い昨日、近い昔』
『遠い昨日、近い昔』 森村誠一(角川文庫)
久しぶりに森村誠一さんの本を買った。
中学生から大学生くらいにかけて、よく読んでいた。その後、ミステリー以外のものを読むことが増え、手に取ることが減っていた。
森村誠一作品で、印象に残っているのは、何といっても『悪魔の飽食』、小説では、『人間の証明』だ。
特に『悪魔の飽食』は中学生の頃に読んで、戦争の加害者としての日本を知るきっかけとなった。
少年時代を戦中から戦後にかけて過ごした森村誠一さんは、このエッセイこの中で、繰り返し表現の自由ついて述べている。読むものさえ制限された少年時代を振り返り、今、再び日本が軍国主義国家だった時代へ回帰しようとしていることに警鐘を鳴らす。そして、作家やジャーナリストは、たとえそれが善い国家体制であったとしても、体制に迎合せず、反体制の立場から政府を監視すべきなのだという。
非常に明確に、厳しく現在の日本の状況を批判し、決して過去を繰り返してはならないと繰りしている。
このエッセイは50年という長い期間、人気作家として書き続けてきた森村誠一さんの半生を書いたものである。
森村氏が作家になった経緯や作家としての歩みをおもしろく語っている。まだ読んでいない著作が数多くある。特に最近の著作はほぼ読んでいない。いくつか気になっているものがあるので、近いうちに読みたいと思う。