読書日記と日々のあれこれ

読んだ本の記録と紹介です。たまに映画も。

広場

 

広場 (CUON韓国文学の名作)

広場 (CUON韓国文学の名作)

  • 作者:仁勲, 崔
  • 発売日: 2019/09/30
  • メディア: 単行本
 

 

ひ作者は韓国、北朝鮮の両方の体制を経験した。

 

主人公も同様に両国の体制の中で生き、そして北朝鮮から第三国へ行くことを希望する。主人公は、船の中でその来た道を振り返る。徐々に彼の過去が明かされていき、何故、彼が今こうして船の中にいるのかが見えてくる。

 

人にとって大切なことは、生きること。

人を生かさないイデオロギーや制度は意味ががない。人がイデオロギーを生かすべきであり、その逆ではない。

しかし、しばしば多くの国で、人がイデオロギーによって生かされたり殺されたりする羽目に陥っている。

 

それは、私たちが属しているより小さな集団においても同様だ。

人をまとめるためにルールやイデオロギーや何かを利用する。それが多くの人をまとめるのに手っ取り早く、有益な方法だからだ。

いつのまにか、主権はイデオロギーやルールに奪われ、人は人が作ったものに振り回される。

より良く生きるために考え出され、持ち込まれたものが、人々を縛り人々を支配するようになる。人は忘れがちだ。人間は愚かなのだということを。たとえどんなに完璧なシステムであっても、正しく理想通りに生かしていくことは出来ないだろうと思う。

 

そして、どんなに完璧なイデオロギーがあって、理想的な国を作り上げたとしても、そこに愛する者がいて共に生きるのでなければ意味がない。